2005年5月9日

昨日は、ナチスドイツが連合軍に降伏してから60年目にあたる日でした。バイエルン第5チャンネルのラジオ放送で、ミュンヘン在住のお年よりのこんな電話が生放送で流れていました。「私の叔父は、ユダヤ人の血をひいていたために、ナチスに逮捕されてブーヘンヴァルト強制収容所に入れられました。彼は生き残りましたが、収容所での虐待のせいで、戦後も夜眠ることができなくなり、3年後に自殺しました。ドイツ人はシレジアなどから追放されて、財産を没収されたなどと不満を言っている人もいますが、これは我々ドイツ人が戦争を始めたのがいけないのだということを忘れてはなりません」

ドイツのシュレーダー首相は今日モスクワで、ドイツの首相としては初めて、赤の広場で行われた対独戦勝記念式典に参列しました。シュレーダーはプーチンときわめて密接な関係を築きつつありますが、敗戦から60年目の今年、国連安保理の常任理事国になるというドイツの希望について、ロシアは強く後押ししています。1万キロ離れたアジアで、中国や韓国が日本の常任理事国になるのを断固阻止しようとしているのとは、対照的であります。

明日はベルリンのど真ん中に、ナチスが殺害した600万人のユダヤ人を追悼するための、広大な記念モニュメントが序幕されます。ブランデンブルグ門のすぐ隣り、日本でいえば皇居前広場か銀座通りのような場所に、国の恥についての大モニュメントを作る。世界の歴史の中でも稀有の行為として、歴史に残ることは間違いありません。